Let's note に Omarchy を入れたら起動しなかった話

Let's note に Omarchy を入れたら起動しなかった話

古い Let's note に Omarchy(DHH の Arch + Hyprland セットアップ)を入れてみたところ、ログイン後に画面が真っ黒になって起動しない。原因を調べていったら、最終的に「ハードウェアの限界」という結論にたどり着いたので、その調査過程を記録しておく。

症状

  • インストール自体は完了する
  • ログインすると画面が黒くなったまま何も表示されない

まずは TTY に入る

黒画面の状態で Ctrl + Alt + F2 を押すと TTY(コンソール)に入れた。ここに入れるということは、OS 自体は生きていて Hyprland(Omarchy のコンポジタ)の起動だけが失敗している状態ということになる。

ちなみに Let's note はファンクションキーが Fn 同時押しでないと効かない設定になっていることがあるので、反応しなければ Ctrl + Alt + Fn + F2 を試すとよい。

TTY からログインして、Hyprland を手動起動してエラーを直接確認する。

Hyprland

結果、coredump で即クラッシュ。

ログを読む

クラッシュレポートを確認する。

cat ~/.cache/hyprland/hyprlandCrashReport*.txt | tail -30

最初に目についたのはこの行だった。

DEBUG from aquamarine ]: drm: connector LVDS-1 crtc doesn't support HDR (0)

「HDR 非対応だから落ちてるのか?」と思いきや、これは起動時に毎回出るただの DEBUG ログで無害。ただしこの行には別の重要なヒントがあった。LVDS-1 という表記だ。

LVDS は eDP 以前の古い液晶パネル接続方式で、Intel だと第3〜4世代 Core(2012〜2013年頃)までしか使われていない。つまりこのマシン、相当古い。

そして本当の原因はログの後半にあった。

ERR from aquamarine ]: [EGL] eglCreateContext errored out with EGL_BAD_MATCH (0x12297)
ERR from aquamarine ]: CDRMRenderer: eglCreateContext failed with GLES 3.2, retrying GLES 3.0
ERR from aquamarine ]: Can't create renderer, eglCreateContext failed with both GLES 3.2 and GLES 3.0
ERR from aquamarine ]: drm: onReady: no renderer for gl formats
ERR from aquamarine ]: drm: Failed to initialize renderer state for /dev/dri/card1

GPU が OpenGL ES 3.0 のコンテキストすら作れていない。Hyprland は最低でも GLES 3.0 を必須とするので、これは設定やパッケージの問題ではなく、GPU がハードウェア的に要件を満たしていないことを意味する。

CPU を確認して確定

lscpu | grep "Model name"
Intel(R) Core(TM) i5 CPU  M 520 @ 2.40GHz

Core i5 M 520。2010年発売の第1世代 Core(Arrandale)で、内蔵 GPU は初代 Intel HD Graphics(Ironlake)。OpenGL は 2.1 世代までしか対応していない。GLES 3.0 を要求する Hyprland は原理的に動かない。

16年前のマシンなので、これはもうどうしようもない。むしろ TTY まで正常に動いているのが立派なくらいだ。

診断の流れまとめ

  1. 黒画面から Ctrl + Alt + F2 で TTY へ → 入れた。OS は生きている
  2. Hyprland を手動起動 → coredump でクラッシュ
  3. ログに LVDS-1 の表記 → 旧世代パネル接続。古い Intel iGPU を疑う
  4. eglCreateContext が GLES 3.2 / 3.0 の両方で失敗 + CPU が i5 M 520 と判明 → GPU がハードウェア的に要件未達で確定

このマシンでどうするか

Arch 自体は動いているので、インストールし直さずに環境を載せ替えられる。

案1: Sway を試す(ワンチャンあり)

Hyprland ライクなタイル型 Wayland コンポジタ。要求が GLES 2.0 なので Ironlake でも動く可能性がある。

sudo pacman -S sway foot
sway

EGL エラーで落ちる場合は、CPU 描画にフォールバックさせる手もある(重いが)。

WLR_RENDERER=pixman sway

案2: i3 (X11) に乗り換え(確実)

この世代のマシンには X11 のドライバが枯れていて一番安定する。タイル WM としての体験は Omarchy に通じるものがあるし、キーバインドやテーマは Omarchy の設定を参考に育てていける。

sudo pacman -S i3-wm i3status dmenu xorg-server xorg-xinit
echo "exec i3" > ~/.xinitrc
startx

本物の Omarchy を使いたくなったら

中古機を調達するのが早い。目安としては:

  • 最低ライン: 第8世代 Core(UHD 620)。動くがアニメーションはやや重め
  • 快適ライン: 第11世代以降(Iris Xe)。DHH が想定している体験に近い

Let's note なら CF-SV9/FV 系、ThinkPad なら X1 Carbon Gen 9 以降や T14 あたりが中古 3〜4万円くらいで見つかる。

まとめ

  • Omarchy(Hyprland)は OpenGL ES 3.0 必須。第1世代 Core の内蔵 GPU では動かない
  • 黒画面 = 即詰みではない。まず TTY に入って Hyprland を手動起動し、エラーを読む
  • ログの LVDS 表記は古いマシンのサイン
  • 目立つエラーっぽいログ(HDR 非対応など)が本当の原因とは限らない。ERR レベルの行を最後まで読む

Omarchy の本質は「Hyprland + 厳選されたツール群 + キーボード中心のワークフロー」なので、その体験の大部分は i3 や Sway でも再現できる。この Let's note には i3 で余生を送ってもらい、Omarchy は別の機体で楽しむことにする。

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